2015年06月14日

番外編 -合成抵抗、分圧と分流

前回まででArduinoのアナログ入力を使った温度センサーを作りました。今回はアナログ入力機能を使って何かを作る予定でしたが、一度電気回路についての説明をします。
今回説明するのは抵抗器が複数ある回路の計算です。抵抗器が1つのときは電流や電圧はオームの法則で計算できましたが、複数になるとオームの法則に加えて合成抵抗や分圧、分流の計算をする必要があります。今回はこれらについて説明していきます。


1. 語句の説明

合成抵抗や分圧、分流を計算する必要があると言いましたが、まずこれらの語句について説明します。

合成抵抗とは抵抗器を複数組み合わせたときの回路全体の抵抗値です。下図左側の回路の合成抵抗が$R[\Omega]$ならば、左側の回路と右側の$R[\Omega]$1つの回路は同じです。
12_語句の説明_1.png

抵抗器を直列接続している回路に電圧を加えると、それぞれの抵抗器で電圧降下が発生します。これを分圧といいます。
下図の回路ですと、回路全体の電圧$V[V]$が抵抗$R_1[\Omega]$$V_1[V]$、抵抗$R_2[\Omega]$$V_2[V]$分圧しています。
12_語句の説明_2.png

抵抗を並列接続している回路に電流を流すと、電流がそれぞれの抵抗器に流れます。これを分流といいます。
下図の回路ですと、回路全体の電流$I[A]$が抵抗$R_1[\Omega]$$I_1[A]$、抵抗$R_2[\Omega]$$I_2[A]$分流しています。
12_語句の説明_3.png


2. 計算式

合成抵抗や分圧、分流の計算を順番に説明してします。

合成抵抗の計算式は直列接続と並列接続で違います。直列接続の合成抵抗は抵抗値の合計です。
$R = R_1 + R_2 + \cdots + R_n$

12_計算式_1.png

並列接続の合成抵抗は直列接続に比べると複雑になり、抵抗値の逆数の合計の逆数です。
$\displaystyle {R = \frac{1}{\displaystyle {\frac{1}{R_1} \times \frac{1}{R_2} \times \cdots \times \frac{1}{R_n} } }}$

12_計算式_2.png

ただ、この式の形だと複雑です。ですのでよく使う抵抗器2つの並列接続や同じ抵抗器の並列接続の形に変形します。
抵抗器を2つ並列接続したときの合成抵抗は、抵抗値のかけ算を足し算で割って求められます。この形の式を和文の積といいます。
$\displaystyle { R = \frac{1}{\displaystyle {\frac{1}{R_1} \times \frac{1}{R_2} } } = \frac{R_1 \times R_2}{R_1 + R_2} }$

12_計算式_3.png

同じ抵抗器を$n$個並列接続したときの合成抵抗は抵抗値を$n$で割れば求められます。
$\displaystyle {R = \frac{1}{\displaystyle {\frac{1}{R_1} \times \frac{1}{R_1} \times \cdots \times \frac{1}{R_1} } } = \frac{R_1}{n} }$

12_計算式_4.png


合成抵抗の計算式は以上ですので、分圧と分流について説明します。
分圧は抵抗値の比で決まります。
$V_1 : V_2 : \  \cdots \ : V_n = R_1 : R_2 : \ \cdots \ : R_n$

12_計算式_5.png

上の式を変形させただけですが、抵抗$R_i[\Omega]$の分圧$V_i[V]$を求める式は以下の通りです。$R[\Omega]$は回路全体の合成抵抗、$V[V]$は回路全体の電圧です。
$V_i = \displaystyle{ \frac{R_i}{R} } \times V$


分流は抵抗値の逆数の比で決まります。
$I_1 : I_2 : \ \cdots \ : I_n = \displaystyle{ \frac{1}{R_1} : \frac{1}{R_2} : \ \cdots \ : \frac{1}{R_n} }$

12_計算式_6.png

抵抗$R_i[\Omega]$の分流$I_i[A]$を求める式は以下の通りです。$R[\Omega]$は回路全体の合成抵抗、$I[A]$は回路全体の電流です。
$I_i = \displaystyle{ \frac{R}{R_i} } \times I$


以上で合成抵抗と分圧、分流の式の説明は終わりです。


3. 計算例

では、実際に計算をしてみようと思います。計算するのは下図の回路です。この回路の合成抵抗$R[\Omega]$、分圧$V_1[V]$$V_2[V]$、回路全体の電流$I[A]$、分流$I_1[A]$$I_2[A]$を計算します。
14_計算例_1.png


まず合成抵抗を求めます。先に下側にある並列回路の合成抵抗を求めます。この合成抵抗を$R_{23}[\Omega]$とします。
$\displaystyle { R_{23} = \frac{R_2 \times R_3}{R_2 + R_3} = \frac{80 \times 20}{80 + 20} = 16[\Omega] }$

回路全体の合成抵抗$R[\Omega]$を求めます。$R[\Omega]$は先ほど計算した$R_{23}[\Omega]$と元からある$R_1[\Omega]$の直列接続です。
$R = R_1 + R_{23} =24 + 16 = 40[\Omega]$



14_計算例_2.png

次に$R_1[\Omega]$$R_{23}[\Omega]$の分圧を求めます。先に$V_1[V]$を求め、その後$V[V]$とから$V_1[V]$を引いて$V_2[V]$を求めます(キルヒホッフの電圧則)。
$V_1 = \displaystyle{ \frac{R_1}{R} \times V = \frac{24}{40} } \times 5 = 3[V]$

$V_2 = V - V_1 = 5 - 3 = 2[V]$


最後に電流の計算です。先に回路全体の電流を求め、その後分流を求めます。回路全体の電流は合成抵抗と電圧から求められます(オームの法則)。
$I = \displaystyle{ \frac{V}{R} = \frac{5}{40} } = 0.125[A]$

分流は先に$I_1[A]$を求め、その後$I[A]$とから$I_1[A]$を引いて$I_2[A]$を求めます(キルヒホッフの電流則)。
$I_1 = \displaystyle{ \frac{16}{80} } \times 0.125 = 0.025[A]$

$I_2 = I - I_1 = 0.125 - 0.025 = 0.1[A]$


これで回路の計算は完成です。計算結果を図に加えるとこのようになります。
14_計算例_3.png



このように抵抗器が複数ある回路ですと合成抵抗や分圧、分流を計算する必要があります。
次回は分圧を利用した可変抵抗という部品とArduinoのアナログ入力機能を組みあわせたものを作ります。


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posted by ました at 18:50| Comment(0) | TrackBack(0) | 電子工作の知識 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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