2015年07月20日

モーター制御 -第3回:トランジスタで動かす

前回はダイオードを使ってトランジスタをモーターの逆電圧から保護する方法について説明しました。
今回はArduinoやトランジスタを使ってモーターを動かします。


目次



1. スイッチング回路の設計

モーターの制御はトランジスタによるスイッチング回路で行います。回路は次の順番で設計します。
  • モーターの電流確認
  • トランジスタ選定
  • ベース設計

モーターの電流確認

モーターを動かすために必要な電流を確認します。
LEDの場合は順電圧や抵抗値から順電流を計算できました。モーターの場合はLEDとはまったく違い、特性を表す性能線図から計算します。
下図は使用するモーターFA-130RAの性能線図です。

17_FA-130RA負荷特性.PNG

色々な線がありますが、表している内容はある重さの物を回すのに必要な力(トルク)電流回る早さ(回転数)の関係です。性能線図は左に行くほど回す物が軽いときの、右に行くほど回す物が重いときの関係を表しています。

17_モーター負荷特性_1.png

あるトルクにおける電流と回転数を知りたいときはそのトルクから線をまっすぐ上に引き、電流や回転数の曲線とぶつかるところを探します。線がぶつかったら、そのぶつかったところから線をまっすぐ横に引きます。その横線の値が電流や回転数の値です。

例えば、重い物(トルク:2.5[mN/m])を回すときは電流が約1.5[A]、回転数は約3500[rpm]です(下図上側)。一方、軽い物(トルク:0.25[mN/m])を回すときは電流が約0.15[A]、回転数は約11000[rpm]です(下図下側)。
このように軽い物を回すときは電流が少なく回転が早いですが、重い物を回すときは電流が多く回転が遅いです。

17_モーター負荷特性_2.png

17_モーター負荷特性_3.png

このようにして、モーターに流れる電流は回したい物のトルクと性能線図を元に、線を引いて求めます。

今回モーターで回す物は軽いので0.15[A]くらいしか流れないとは思いますが、回す物が思ったより重い場合に備えて1[A]を想定してスイッチング回路を設計します。

トランジスタ選定

スイッチング回路で1[A]以上流せるトランジスタを選びます。選んだのは秋月電子通商の「トランジスタ 2SC2655L−Y 50V2A (10個入) / 通販コード I-08746」です。
2SC2655の最大コレクタ電流は2[A]ですので、余裕を持ってモーターを動かすことができます。

IMG_8360.jpg

ベース設計

ベース側回路の設計をします。必要なのは、コレクタ電流、増幅率、ベース-エミッタ間電圧、ベース制御電圧です。
ベース制御電圧はArduinoのデジタルピンを使用するので5[V]それ以外の値は2SC2655のデータシートに書いてあります。ただし、計算に使う値はモーターが確実に動くようデータシートの値より少し多くしたり少なくしたりしています。

コレクタ電流を1[A]、トランジスタの増幅率を40倍とします。そうすると、必要なベース電流は25[mA]です。Arduinoのピンは最大40[mA]流せますので、これくらいなら流せます。
$\displaystyle{ \frac{1}{40} = 0.025[A] = 25[mA] }$

ベース-エミッタ間制御電圧を5[V]、ベース-エミッタ間電圧を1[V]とすると、ベース電流を25[mA]以上にするにはベース抵抗を160[Ω]以下にすればよいです。E系列の中で160[Ω]に近くて小さい値は150[Ω]なので、150[Ω]を採用します。
$ \displaystyle{ \frac{5-1}{0.025} = 160[\Omega]}$

これでスイッチング回路の設計が出来ました。

20_DCmotor_Arduino_TrSwitch_schem.png


2. その他の回路の設計

モーターを手動で動かせるようにスイッチのプルダウン回路を付け加えます。回路は以前LEDをスイッチで制御した回路と同じです。

20_DCmotor_Arduino_Pulldown_schem.png


3. 組み立て

スイッチング回路とその他の回路の設計が終わりましたので、この2つの回路を組み合わせると回路は完成です。1項のスイッチング回路と2項のプルダウン回路を組み合わせた回路が下図です。

20_DCmotor_Arduino_schem.png

上図の回路図をブレッドボードに組み立てたのが下図です。

19_DCmotor_Arduino_bb.png

IMG_8353.jpg

ダイオードの取り付け場所ですが、モーターに直接半田付けしています。これは逆電圧を少しでも早く逃がすためです。
電気にもはやさがありますので、線の長さによって電気が届く時間が変わりますモーターとダイオードの距離を短くすることで、少しでも早く逆電圧を逃がそうとしています。
とはいえ、これくらいの電流のモーターですと多少モーターとダイオードの距離があっても問題はないと思います。


4. スケッチ

スケッチはArduino公式が公開しているサンプルスケッチButtonを使います。2番ピンがHIGHになる(=スイッチを押す)と13番ピンがHIGHになる(=モーターが回る)スケッチです。


5. 動かす

これが実際に動かした動画です。スイッチを押す度にモーターが回っています。



これでArduinoを使ってモーターを回すことが出来ました。
次回やることは未定ですが、そろそろスケッチをもう少し作り込もうかなと思っています。


参考資料

  1. 作者名:マブチモーター. ページ名:"性能線図の見方と使用例". サイト名:マブチモーター. http://www.mabuchi-motor.co.jp/ja_JP/technic/t_0201.html, (参照 2015-07-19)


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posted by ました at 13:29| Comment(0) | TrackBack(0) | 電子工作の実践 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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