2015年12月20日

番外編 -スイッチングレギュレータ(降圧型、DC/DC変換)

はじめに

前回はリニアレギュレータについて説明しました。今回はスイッチングレギュレータについて説明します。
なお、今回説明するのはスイッチングレギュレータの中でも降圧型DC/DC変換を行うタイプのスイッチングレギュレータです。


目次



1. 仕組み

スイッチングレギュレータは出力のON/OFFを高速で切り替えて(=スイッチングして)降圧を行います(図1)。このやり方は以前にLED調光を行うために使ったPWMと似ています。電圧を70[%]に降圧したいならDuty比を70[%]に、電圧を40[%]に降圧したいならDuty比を40[%]にするといった具合です。

dec18_スイッチングレギュレータ_1.png
図1 スイッチングレギュレータの動作

スイッチングを行っただけだと出力はパルス波ですので、直流電圧ではありません。そこで出力電圧が直流に近づくよう平滑化を行います。平滑化はコンデンサなどを使った平滑回路で行います(図2)。ただし、平滑化を行っても完全な直流電圧とはならず、多少のノイズが乗ります。

dec18_スイッチングレギュレータ_2.png
図2 スイッチングレギュレータ出力の平滑化

このようにスイッチングレギュレータはスイッチングを行ってパルス波を生成し、それを平滑化して直流にすることで降圧を行います。


2. 利点

スイッチングレギュレータの主な利点は2つです。
  • 無駄になる電気エネルギーや発熱が少ない
  • 入力電圧によって効率が変わらない

無駄になる電気エネルギーや発熱が少ない

スイッチングレギュレータはON/OFFを繰り返して降圧するため、OFFの間は電力の消費が減ります(図3)。そのため無駄な電力の消費を少なくできます。

dec18_スイッチングレギュレータ_3.png
図3 スイッチングによる入力電力の変化

無駄な電力が少ないというのは効率が良いとも言い換えられます。効率は以下の式で求められます。

$効率 = \displaystyle{ \frac{出力電圧}{入力電圧} }$

スイッチングレギュレータは最大効率80〜90[%]程度のものが多いです。ですので、無駄になる電力は入力の10〜20[%]程度です。
リニアレギュレータの効率は入出力電圧差にもよりますが、60〜70[%]くらいが多いです。無駄になる電力は30〜40[%]程度とスイッチングレギュレータの倍近くあります。
無駄になった電力は熱に変化します。無駄になる電力が少ないということは部品の発熱が少ないということです。スイッチングレギュレータはリニアレギュレータよりも発熱が少ないため、放熱の設計が楽になります。

効率が入出力電圧差の影響を受けにくい

スイッチングレギュレータはON/OFFを繰り返して降圧するわけですが、どれだけ降圧するかはON/OFFのDuty比で調整できます
例えば入力電圧が高ければその分ONの時間を短くし(図4)、入力電圧が低ければONの時間を長くすればよいです(図5)。

dec18_スイッチングレギュレータ_4.png
図4 入力電圧:高、Duty比:低のイメージ

dec18_スイッチングレギュレータ_5.png
図5 入力電圧:低、Duty比:高のイメージ

スイッチングレギュレータは入出力電圧差が大きくてもDuty比で調整が可能ですのでリニアレギュレータに比べると、効率が入出力電圧差の影響を受けにくいです。


3. 欠点

スイッチングレギュレータの主な欠点は3つです。
  • 出力にノイズが乗る
  • 部品が高い
  • 外付け回路が必要

出力にノイズが乗る

スイッチングレギュレータはON/OFFを高速で繰り返すので、ノイズの発生源となります。
ノイズは主に2種類あり出力電圧のノイズ電磁波のノイズです(図6)。出力電圧は平滑化を行っても多少変動しているため、この変動がノイズとなります。また平滑前はパルス波なのですが、このパルス波から電磁波が発生しノイズとなります。

dec18_スイッチングレギュレータ_6.png
図6 スイッチングレギュレータのノイズ

ノイズがあまりにも多いと製品の動作がおかしくなったり、他の製品にまで影響を与える場合があります。それらを防止するために、スイッチングレギュレータではノイズ対策が必要な場合があります。

部品が高い

スイッチングレギュレータはリニアレギュレータと比較すると価格が高いです。リニアレギュレータが1個¥20〜¥100に対して、スイッチングレギュレータは1個¥200〜¥500程度です。詳細はリニアレギュレータの利点を参照してください。

外付け回路が必要

スイッチングレギュレータの出力はパルス波形ですので、直流にするには平滑回路を外付けする必要があります。図7はスイッチングレギュレータ(LT1776CN8)とその平滑回路の回路図です。

dec18_スイッチングレギュレータ_推奨回路.png
図7 スイッチングレギュレータ回路例(秋月電子通商 通販コード:I-02788)

3端子レギュレータの外付け回路(コンデンサ×2)と比べると、スイッチングレギュレータの外付け回路はだいぶ複雑です。そのため、リニアレギュレータと比べるとスイッチングレギュレータは回路設計が難しいです。


まとめ

以上、スイッチングレギュレータについて説明しました。説明したことをまとめると以下のようになります。
  • スイッチングレギュレータはON/OFFの切り替え(スイッチング)によって、電圧変換を行う
  • OFFにしている間は電力消費が少ない
  • 利点:無駄になる電気エネルギーや発熱が少ない、入出力電圧差によって効率が変わらない
  • 欠点:ノイズが発生する、部品が高い、回路設計が複雑
利点や欠点はリニアレギュレータと反対です。
個人の電子工作で電源を選ぶ場合、外付け回路が複雑という欠点の影響が多いのでスイッチングレギュレータを使う場面は少ないと思います。とはいえ1[A]以上の電流を扱うような場合にリニアレギュレータを選ぶと放熱の設計が大変ですので、必要な電流が大きい場合はスイッチングレギュレータを使った方がいいと思います。


参考資料

  1. 著書名:CQ出版社. 書名:トランジスタ技術2013年6月号. 出版社:CQ出版社, 出版年:2013, 参照頁(pp.120-132)
  2. 作者名:イーター電機工業株式会社. "効率は高い方がいい!". サイト名:イーター電機工業株式会社. https://www.eta.co.jp/concept/cp_efficiency.cfm, (参照日:2015-12-19)
  3. 作者名:ローム株式会社. "降圧型スイッチングレギュレータの動作原理". サイト名:Tech Web. http://micro.rohm.com/jp/techweb/knowledge/dcdc/s-dcdc/02-s-dcdc/90, (参照日:2015-12-19)
  4. 作者名:Texas Instruments. " スイッチング・レギュレータ". サイト名:Texas Instruments. http://www.tij.co.jp/lsds/ti_ja/analog/glossary/switching_regulator.page, (参照日:2015-12-19)


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posted by ました at 10:28| Comment(0) | TrackBack(0) | 電子工作の知識 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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