2015年10月25日

番外編 -I2C その1(概要)

今回はI2C(アイ・スクウェアド・シー)という通信方式について説明します。I2Cはシリアル通信と同様に電子工作ではよく使われる通信方式です。


目次


1. 概要

I2Cは以前に作成した記事(デジタル通信のルール)で説明した言葉で表すと、以下のような通信方式です。
I2Cはシリアル通信と同様にシングルエンドでシリアル伝送な通信方式ですので、通信速度は高速な部類ではありません。ただ、シリアル通信が非同期方式であるのに対してI2Cは同期方式ですので、シリアル通信よりはI2Cの方が高速です


図1はI2Cの接続図です。SCLがクロックSDAがデータの信号線です。I2Cはこの2本の信号線で通信を行います。

oct25_I2C_1-1.png
図1 I2C接続図

I2Cで使用する部品は行う動作によってマスターとスレーブの2種類に分けられます。マスターとスレーブについては2. マスターとスレーブで説明します。

I2CはSCLもSDAもオープンコレクタ出力であるため、双方向通信が可能です。SCLは常にマスターからスレーブへの一方通行ですが、SDAはマスターとスレーブで入力側と出力側が入れ替わる双方向通信です。
また、SCLもSDAもオープンコレクタ出力であるため、SCLとSDAにはプルアップ回路が必要です。


2. マスターとスレーブ

図1で描いたようにI2Cにはマスターとスレーブがあります。それぞれの役割を以下に記します。
  • マスター:クロック信号や命令を出す側。Arduinoなどのマイコンが担当する
  • スレーブ:クロック信号や命令を受け取る側。LCDなどの周辺機器が担当する
このようにI2Cではマスターの命令に従ってスレーブが動作します。マスターが出す命令は大きく分けて2つです。
  1. 複数あるスレーブの内、どのスレーブと通信するか
  2. Read(マスターがスレーブからデータを読み込み)かWrite(マスターがスレーブにデータを書き込み)か

スレーブとして動く部品にはアドレスという固有の番号が部品メーカーによって割り振られています。マスターはアドレスを使うことで、通信を行うスレーブを指定することができます。
アドレスは基本的に7[bit]の2進数です。たまに10[bit]のアドレスもあります。

I2Cではまず、図2のようにマスターがどのスレーブと通信するかの命令を送ります。このとき、この命令は全てのスレーブが受け取ります。
また、R/W(Read/Write)のどちらを行うかの命令もアドレスと一緒にスレーブへ送っています
なお、マスター-スレーブ間でやり取りするデータは総てSDAの線で行います。ですので、図2と図3ではSCLを省略しています。

oct25_I2C_2.png
図2 マスターからスレーブへの命令

マスターが指定したアドレスと一致するスレーブは図3のようにマスターに対して通信可能であることの返事を行います。この返事をACK(アック)といいます。ACKはacknowledgementの略です。
マスターが指定したアドレスと一致しないスレーブは何もしません。

oct25_I2C_3.png
図3 スレーブからマスターへのACK

マスターはスレーブからのACKを確認してから、データのやり取りを始めます。


このようにI2Cでは双方向通信やアドレス、ACKなどを活用しています。ただし、これらの命令はマスターとスレーブが互いに通信の手順を守らなければいけません。手順を守らなければ、互いの信号をうまくやり取りすることができません。
次回はI2Cの通信手順について説明します。


参考資料

  1. 作者名:後閑哲也. "I2C通信の使い方". サイト名:電子工作の実験室. http://www.picfun.com/c15.html, (参照日:2015-10-25)
  2. 作者名:Shigehiro Kimura. "I2Cの実験(1/5)". サイト名:きむ茶工房ガレージハウス. http://www.geocities.jp/zattouka/GarageHouse/micon/I2C/I2C_1.htm, (参照日:2015-10-25)
  3. 作者名:NXP Semiconductors. "I2C バス仕様およびユーザーマニュアル". サイト名:NXP Semiconductors. http://www.nxp.com/documents/user_manual/UM10204_JA.pdf, (参照日:2015-10-25)

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2015年10月18日

番外編 -オープンコレクタ出力

今度使おうとしている部品がI2C(アイスクウェアドシー)という通信方式をつかっており、そのI2Cではピンの出力がオープンコレクタ出力という方式です。
I2Cもオープンコレクタ出力も今までに使ったことがありませんので、今回と次回でそれらの説明をします。今回はまずオープンコレクタ出力について説明します。


目次



1. CMOS出力

オープンコレクタ出力を説明する前に普通の出力について説明します。
電子部品はデジタル信号をやり取りするためにHigh/Low 2つの電圧を出力できるようになっています(参照:LED制御(スイッチ) -第2回)。電子部品の中にはスイッチのような回路があり、この回路が電源側やGND側に切り替わることでHigh/Lowを出力します。

OCt18_CMOS出力_1.png
図1 HighとLowを出力できる電子部品のイメージ

OCt18_CMOS出力_2.png
図2 Low出力時のイメージ

OCt18_CMOS出力_3.png
図3 High出力時のイメージ

スイッチのような回路の仕組みは電子部品によって異なりますが、CMOS(しーもす)出力という方式が多いです。次によく使われるのはTTL(てぃーてぃーえる)出力です。
本ブログではこのようなHigh/Lowの2つを出力できる方式をCMOS出力と呼ぶことにします。


2. オープンコレクタ出力とは

オープンコレクタ出力もCMOS出力と同様に電子部品の中にスイッチのような回路があります。CMOS出力と違うのはオープンコレクタ出力の場合、GNDに接続するかしないかということです。電源側とは繋がりません。

OCt18_オープンコレクタ_1.png
図4 オープンコレクタ出力のイメージ

ちなみにオープンコレクタ出力という名前ですが、電子部品の中にトランジスタのスイッチング回路のようなものがあるからです。出力ピンはトランジスタのコレクタ側がそのまま接続されています。コレクタ側が他の部品に繋がっていない(=オープン)状態ですので、オープンコレクタ出力といいます。

OCt18_オープンコレクタ_2.png
図5 オープンコレクタ出力内部のイメージ

さてオープンコレクタ出力の出力についてですが、GND側に接続されたときはLowが出力されます。これはCMOS出力と同じです。

OCt18_オープンコレクタ_3.png
図6 オープンコレクタ出力Low出力時のイメージ

一方、GND側と切断されているときは、出力ピンがどこにも繋がりません。オープンコレクタ出力の電子部品はこの状態のときに、出力ピンの抵抗値がとても高くなるように作られています。このような高い抵抗値(≒インピーダンス)の状態をハイ・インピーダンス(Hi-Z)といいます。

OCt18_オープンコレクタ_4.png
図7 オープンコレクタ出力Hi-Z出力時のイメージ

ただし、出力がHi-Zだと電圧が分からない(=不定)ので、デジタル信号をただしくやりとりすることができません。
そこで、オープンコレクタ出力の場合はプルアップ回路が必須となります。プルアップ回路を付けることでオープンコレクタ出力がHi-Zのとき出力ピンはHighとなります。オープンコレクタ出力がLowのときは出力ピンもLowです。プルアップ回路についての説明は以下を参照してください。

OCt18_オープンコレクタ_5.png
図8 プルアップ回路付きオープンコレクタ出力

以上でオープンコレクタ出力の説明は終わりです。


3. オープンコレクタ出力の活用

さて、オープンコレクタ出力について説明しましたが、オープンコレクタ出力は主に複数の出力を1本の線でまとめたいときに活用されます。
図9はオープンコレクタ出力を複数まとめたときの回路です。

OCt18_オープンコレクタ_複数_1.png
図9 オープンコレクタ出力の複数接続(通常時)

ちなみにオープンコレクタ出力では何もしないときはHi-Z状態としますので、普段はHighを出力しています。Lowにしたいときだけ、出力をLowにします。

図10のように電子部品の内どれか1つでもLowになれば、出力はLowになります。このときHi-Z状態の電子部品はHi-Zを状態のままで、大丈夫です。

OCt18_オープンコレクタ_複数_2.png
図10 オープンコレクタ出力の複数接続(Low出力時)

このように複数のオープンコレクタ出力をまとめることができます。この接続方法については次回のI2Cで詳しく説明します。


なお、複数のCMOS出力をまとめることは絶対にしないでください。
CMOS出力を複数まとめるとどこかでHighとLowがぶつかります。その状態は電源とGNDが抵抗値0[Ω]で接続されている状態(=ショート)ですので、電源が流せる限りの電流を流します。大量の電流が流れると、動作不良、部品の破壊、煙の発生、出火、爆発が考えられますので、複数のCMOS出力をまとめることは絶対にしないでください。

OCt18_オープンコレクタ_複数_3.png
図11 CMOS出力の複数接続(ダメな例)


今回の説明をまとめます。
  • 電子部品のデジタル信号の出力方式は主にCMOS出力とオープンコレクタ出力がある(他にもあります)
  • CMOS出力はHigh/Lowを出力
  • オープンコレクタ出力はHi-Z/Lowを出力。プルアップ回路が必要
  • 複数のオープンコレクタ出力をまとめることができる

次回はオープンコレクタ出力を利用する通信方式I2Cについて説明します。


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2015年09月13日

シリアル通信 -第1回:シリアル通信とは

今回からはArduinoのシリアル通信という機能を使っていきます。
以前にも温度センサーで温度や電圧の値を取得するのに使ったように、シリアル通信によってArduinoとパソコン間でデータのやり取りを行うことができるようになります。
今回はシリアル通信について説明を行い、Arduinoでシリアル通信を使う方法は次回説明します。

なお、シリアル通信といった場合、シリアル伝送の通信全般を指す場合と特定の通信を指す場合の2つがあります。本ブログでシリアル通信といった場合は、基本的に後者の意味です。


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目次



1. 概要

シリアル通信と関係が深いものとしてRS-232というシリアル伝送の通信規格と、それを行うために必要なUARTという集積回路(≒部品)があります。雑に述べると、RS-232の一部のみ使用している通信がシリアル通信です。ただし、「一部のみ」というのがどこまでなのか曖昧ですので、単純にシリアル通信といってもRS-232の機能の内最小限だけのことを指す場合もあれば、電圧レベル以外はほぼRS-232と同じようなシリアル通信もあります。場合によってはシリアル通信をRS-232の意味で使ってることもあります。
UARTは元々集積回路を指す言葉でしたが、シリアル通信とセットで使われることが多いため、今ではUARTがシリアル通信そのものを指すことも多いです。

シリアル通信の特徴をデジタル通信のルール12で説明した言葉で表すと以下のようになります。
  • 電圧レベルは未定(※RS-232では決められている)
  • シングルエンド
  • シリアル伝送
  • 非同期式(=調歩同期式)

このような特徴を持っており、基本的には少量のデータのやりとりに向いています。そのほかの特徴として、元々のRS-232が多くの機器で使われていたため、シリアル通信を行うための部品は安価で入手しやすいです。さらに、後ほど説明しますがシリアル通信は最低3本の線があればいいため、回路の設計も簡単です。

通信速度は低速であるものの、部品の入手性や設計の容易性という利点があるため、シリアル通信は電子工作でよく使われる通信方式です。


2. 接続

基本的なシリアル通信を行うには3本の線が必要です。その3本の内訳は通信用が2本、GNDが1本です。
通信用の線を繋ぐ端子をTxDRxDといいます。TxD(Transmitted Data)は送信、RxD(Received Data)は受信のことです。
互いの部品のTxDとRxDを接続し、GNDを接続すればシリアル通信の回路は完成です。

13_シリアル通信接続_1-2.png

なお、3本の線で行えるのは最低限のシリアル通信です。シリアル通信(というよりRS-232)の機能を活用するためにはあといくつか線を接続する必要があります。


3. 波形

下図は実際にArduinoとパソコン間で基本的なシリアル通信を行ったときの波形です。上側は文字"A"(文字コード:0x41)、下側は文字"Z"(文字コード:0x5A)の波形です。

13_シリアル通信波形_1.png

13_シリアル通信波形_2.png

シリアル通信は基本的に1回の通信で1[Byte]分のデータを送り、データの前後にスタートビットストップビットを付けます。
上図の流れを説明します。2[Byte]以上のデータを送る際は下記を繰り返します。
  1. 通信をしていないとき(=待機)はHigh状態
  2. 通信開始時にスタートビット(Low)を送る
  3. データを送る(※データは下位ビットから送る
  4. データを1[Byte]分送ったら、ストップビット(High)を送る
  5. High状態(=待機)に戻る

3番目に書いてあるように、シリアル通信ではデータを下位ビットから送ります。ですので、文字"A"の文字コードは"41(16)"="0100 0001(2)"ですが、下位から送るのデータ波形ではひっくり返り左から"1000 0010(2)"になります。Zも同様に"5A(16)"="0101 1010(2)"がひっくり返り、波形は左から"0101 1010(2)"となります。

なお、これはあくまでシリアル通信の基本的な波形です。シリアル通信の設定によってはこれ以外の情報も送ったりすることができます。


今回説明したことは知らなくてもArduinoでシリアル通信を行うことはできます。ですが、知っておくと自分でシリアル通信できる電子機器を設計したりする際に便利と思ったので説明しました。
次回はArduinoとパソコンでのシリアル通信の使い方を説明します。


参考資料

  1. 作者名:ルネサスエレクトロニクス株式会社. "マイコン活用基礎:周辺機能を学ぼうー(3)シリアル通信". サイト名:ルネサスエレクトロニクス. http://japan.renesas.com/edge_ol/engineer/18/index.jsp, (参照日:2015-09-13)
  2. 作者名:不明. "RS232規格". サイト名:easy labo. http://easylabo.com/2014/08/standards/3267/, (参照日:2015-09-13)
  3. 作者名:株式会社コンテック. "シリアル通信の基礎知識 - RS-232C / RS-422 / RS-485 -". サイト名:CONTEC. https://www.contec.co.jp/product/device/serial/basic.html, (参照日:2015-09-13)
  4. 作者名:株式会社インセプト. "調歩同期". サイト名:IT用語辞典 e-Words. http://e-words.jp/w/%E8%AA%BF%E6%AD%A9%E5%90%8C%E6%9C%9F.html, (参照日:2015-09-13)

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2015年09月06日

番外編 -デジタル通信のルール(シリアル伝送・パラレル伝送、同期・非同期)

前回は通信のルールに関する電圧レベルとシングルエンド・差動、補足としてノイズについて説明しました。今回も通信のルールに関するシリアル伝送・パラレル伝送同期・非同期、補足としてデータの単位について説明します。


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目次



1. シリアル伝送・パラレル伝送

デジタル通信では複数のデータを送る場合が多いです。複数のデータを送る方法は2種類あります。
  1. シリアル伝送:1本の線を使い、データを順番に送る
  2. パラレル伝送:複数の線を使い、データをまとめて送る
06_通信のルール2_1.png




06_通信のルール2_2.png

それぞれの伝送方式の特徴を簡単に説明すると、シリアル伝送は通信速度が遅くて設計が簡単パラレル伝送は通信速度が速くて設計が難しい、です。

例えばデータの変化する速さが同じ場合、8本の線で動くパラレル伝送と1本の線で動くシリアル伝送では通信速度に8倍の差があります。もし、シリアル伝送を8本のパラレル伝送と同じ通信速度にするにはデータを変化する速さを8倍にする必要があります。
このようにパラレル伝送は線が多いため、複数のデータのやり取りを行うのに有利です。

一方、線が多いパラレル伝送は設計が難しいです。その主な要因はノイズ(前回の差動参照)対策と線の長さです。
パラレル伝送のように線が多いとノイズの影響を受けやすくなります。また、信号線自体もノイズの要因となってしまうため、線が多いとノイズの影響を受けやすいだけでなく発生するノイズも増えます。ですので、パラレル伝送はシリアル伝送よりもノイズに弱いです。
また、線が増えると線の長さも問題になります。通信を行う際は受信側に同じタイミングでデータが到達する必要があります。ですが、線の長さが違いすぎると、短い線ではデータが早く長い線では遅く到達してしまうため、同じタイミングで受信することができません。ですのでパラレル伝送では線の長さにも気を付ける必要があります。

06_通信のルール2_3.png

このようにパラレル伝送ではノイズ対策線の長さに気を付けないといけないため、シリアル伝送より設計が難しいです。通信速度が低速の場合はあまり気を付けなくていいですが、高速になるほど設計が難しいです。


2. データの単位

データ(2進数)にも単位があります。2進数1桁を1[bit](ビット)、2進数8桁を1[Byte](バイト)といいます。16進数の1桁は2進数4桁と同じですので、1[Byte]は16進数2桁と同じです。

06_通信のルール2_4.png

シリアル伝送やパラレル伝送はデータをByte単位で送ることが多いです。そのため、パラレル伝送の信号線の本数は8の倍数であることが多いです。

通信速度にも単位はあります。1秒間に1[bit]送れる速度を1[bps](bit per second)といいます。電子工作ですと数[kbps]から数百[kbps]くらいの通信速度が多いです。このくらいの通信速度でしたらノイズ対策などは基本的に不要です。数十[MHz]以上の通信速度だとノイズ対策などにも気を付ける必要があります。


3. 同期・非同期

通信を行うためには受信側でデータがどのタイミングで変化しているのかを知る必要があります。変化タイミングを知る方式は2つあり、同期方式非同期方式です。

同期方式ではデータ用の信号以外にタイミングを合わせるための信号(クロック)を使います。例えば送信側はクロックの立ち上がりタイミングに合わせてデータを変化、受信側はクロックの立ち下がりタイミングに合わせてデータを読み込むことで、送信側と受信側でタイミングを合わせられる(=同期を取る)ことができます。

06_通信のルール2_5.png

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一方、非同期方式ではクロックは使わず、送信側と受信側はそれぞれあらかじめ決められたタイミングでデータを送信したり読み込んだりします。クロックは使いませんので、線はデータのみです。

06_通信のルール2_7.png

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この方法の欠点は送信側と受信側で時間がずれたら正常な通信ができないということです。送信側と受信側で内部の時計が完璧にあっているということはほぼないため、時間が経つにつれてタイミングが徐々にずれ、そのうち通信エラーが発生してしまいます。

06_通信のルール2_9.png


同期方式はクロックに合わせてデータを送るため、確実にタイミングを合わせることができます。非同期だと完全にタイミングを合わせることは不可能ですので、データを送る度にタイミングを再度合わせなおすなどの必要があります。


今回と前回と合わせて通信に関する様々なルールを説明しました。通信方式は色々ありますが、基本的にこれらのルールを合わせて作られています。
  • ノイズはほぼ無視して少しのデータを送りたい→シングルエンド・シリアル・非同期
  • ノイズをある程度考慮して大量のデータを送りたい→差動・パラレル・同期
  • ノイズにとても強くしてデータを送りたい→差動・シリアル・同期

電圧レベルについて触れていませんが、電圧レベルは部品に使用する電源に左右されることが多いです。ただ、省電力を重視する場合は電圧レベルを低く、ノイズ耐性を重視する場合は電圧レベルを高くすることが多いです。


これで通信のルールに関する説明は終わりです。次回は電子工作で使うことの多い、シリアル通信という通信方式について説明します。


参考資料

  1. 作者名:鈴木直美. "FILE 4:インターフェース、なぜシリアルはパラレルよりも速い? ". サイト名:DOS/V POWER REPORT. http://home.impress.co.jp/magazine/dosvpr/q-a/0104/qa0104_4.htm, (参照日:2015-09-04)
  2. 作者名:宇野俊夫. "パラレルからシリアルへ――なぜインタフェースは転機を迎えたのか". サイト名:IT media. http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0403/18/news017.html, (参照日:2015-09-04)




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2015年08月31日

番外編 -デジタル通信のルール(電圧レベル、シングルエンド・差動)

前回は文字コードについて説明し、最後に「電気信号で通信するといっても通信には様々なルールがあります。」と書きました。
通信に関するルールはとても多くありますが、電子工作をする上では、電圧レベル、シングルエンド・差動、シリアル・パラレル、同期・非同期を知っておくと便利です。全部説明すると長いので、今回は電圧レベルとシングルエンド・差動について説明していきます。

なお、通信と書きましたが、今回扱う通信とは「0と1をやり取りする有線のデジタル通信」のことです。


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目次



1. 電圧レベル

デジタル通信では電気信号でHigh(=1)とLow(=0)のやり取りを行います。電圧レベルとは何[V]をHigh、Lowとして扱うかというルールです。

電子工作で主に使われるのは5.0[V]をHigh、0.0[V]をLowとする5[V]系と、3.3[V]をHigh、0.0[V]をLowとする3.3[V]系です。

30_通信方式1_1_1.png

30_通信方式1_2_1.png

デジタル通信は2つ以上の機器や部品で行いますが、それらは全て同じ電圧レベルでなければ通信できません。もし、5[V]系の部品と3.3[V]を通信させたいのであれば電圧レベル変換用の部品や回路が必要です。


2. シングルエンド・差動

さて電圧レベルでは5[V](もしくは3.3[V])と0[V]を使って通信を行う方法を説明しましたが、これはシングルエンド(Single-Ended)という方式です。シングルエンドの対になる方式として、差動(Differential)という方式があります。それぞれの方式で線の接続法High/Lowの認識が異なります。

シングルエンド

シングルエンドは今までArduinoでものを作ってきたときにも使ってきた方式です。必要な線は信号線とGND線(=0[V])の2種類です。

30_通信方式1_4.png

High/Lowの認識は信号の電圧で決まります。電圧がHigh付近ならばHighLow付近ならばLowHighとLowの中間ならば不明です。

30_通信方式1_3.png


なお、シングルエンドとは関係ありませんが、上のデジタル波形は今までのように長方形でなく、台形で描いています。これは時間を厳密に考えるときの描き方です。

理想では下図のような一瞬でHigh/Lowが変化するデジタル波形が望ましいです。

30_通信方式1_5.png

ですが、現実にそのようなデジタル波形を作るのは難しく、High/Lowが変化するのに時間がかかってしまい、台形のようになってしまいます。

30_通信方式1_6.png

普段はHigh/Lowの変化時間は無視して直方体のような描き方でよいですが、時間を厳密に考慮するとHigh/Lowの変化時間が無視できないため台形のような描き方にします。

差動

差動は今回初めて扱う方式です。差動でもシングルエンドと同じように信号線とGND線がありますが、シングルエンドと違い信号線に+(プラス)側-(マイナス)側があります。ですので、必要な線は3本です。

30_通信方式1_7.png

差動方式ではHigh/Lowの認識に2つの信号線の差を活用します。差動方式の場合、+側と-側の信号は互いがクロスするように変化します。+側の電圧が-側より高ければHigh、+側の電圧が-側より低ければLowです。

30_通信方式1_8_2.png

差動方式の利点はノイズに強いということです。電気信号は外部からのノイズ(主に電波)によって波形が乱れます。波形の乱れ具合によってはHigh/Lowを正しく認識することができず、通信エラーが発生してしまいます。通信の種類もノイズに影響しており、高速通信遠距離通信だとノイズが増えやすいです。

30_通信方式1_9.png

差動方式はシングルエンド方式よりもノイズに強いです。ですので、高速通信や遠距離通信などで少しでも通信エラーを減らしたい場合は差動方式が用いられている場合が多いです。
一方、シングルエンド方式は差動方式よりノイズに弱いとはいえ、電子工作で使う分にはほぼ通信エラーおきません。また信号線が差動方式より1本少なくて済みます。ですので、電子工作に使用する部品の大半はシングルエンド方式です。


今回説明したことをまとめました

  • 電圧レベル:High/Lowを認識する電圧。主に5[V]系と3.3[V]系がある。Arduinoは5[V]系
  • シングルエンド:1つの信号線で通信を行う方式。電子工作の大半はこの方式
  • 差動:+側と-側、2つの信号線で通信を行う方式。ノイズに強いため高速通信や遠距離通信で用いられる

次回はシリアル・パラレル、同期・非同期について説明します。


参考資料

  1. 作者名:村田製作所. "高速の伝送が、なぜ差動伝送になっているのか?". サイト名:村田製作所. http://www.murata.com/ja-jp/products/emiconfun/emc/2013/10/15/en-20131015-p1, (参照日:2015-08-31)


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