2017年02月23日

照明器具製作 第1回:試作1台目の説明

はじめに

前回説明したように、現在はWi-FiモジュールやパワーLEDを使った照明器具の作成をしています。
まだ作成途中ですが、最初の試作が出来たので記事にしました。今回は作った試作品や回路について、次回は試作品を試験(電力効率、温度上昇など)した結果について説明します。
 

目次

 

1. 作成物

図1と図2が照明器具の試作品です。左下の方に写っているのは照明を制御するための回路基板です。色々部品が載っていますが、機能はまだ照明のON/OFFだけです。
 
P2290192_web.jpg
図1 照明器具の試作(消灯時)
 
P2290194_web.jpg
図2 照明器具の試作(点灯時1)
 
カバーや台座などの外装は3Dプリンターで作りました。カバーを外すと光源となる1WパワーLEDが3つあります。(図3)
 
P2290196_web.jpg
図3 照明器具のパワーLED部分
 
パワーLEDは順電流が多くそれなりに発熱するため、放熱が必要です。放熱を行うための部品を表1に記します。
 
表1 パワーLEDの放熱部品一覧
部品 秋月電子通販コード
1 放熱基板付き1WパワーLED I-05162
2 ヒートシンク 16×25×16mm P-05053
3 熱伝導両面テープ P-00516
 
試作品の熱変化を測定し、上記の組みあわせで放熱に問題がないことを確認しました。測定結果は次回説明します。
 
 
図2だと点灯時の明るさが分かりにくいので、部屋を暗くして点灯させたときの写真が図3です。感覚としては6畳くらいの部屋全体がうっすらと明るくなり、50cm離れて本が読める程度の明るさです。
 
P2290189.jpg
図4 照明器具の試作(点灯時2)
 
やや暗い感じもしますが、この程度の明るさなら寝室で使えそうな感じですし、LED3つだと回路設計が楽なので、このまま1WパワーLED×3個のまま設計を進めていきます。
 

2. 回路

順序が前後しましたが、LEDを光らせるには回路がいります。作成した回路について説明します。
パワーLEDを効率よく光らせるにはLEDドライバーが必要です。パワーLEDも普通のLEDと同様に抵抗器を使って光らせることは出来ますが、パワーLEDは順電流が多いため抵抗器による損失も大きくなってしまいます。損失を少なくし効率よくパワーLEDを光らせるにはスイッチング動作を行うLEDドライバーを使います。
今回使用したLEDドライバーはCL6807です。(図5)
 
I-06277.JPG
図5 LEDドライバーCL6807(秋月電子通商 通販コード:I-06277)
 
LEDドライバーは抵抗器と違い、外付けの部品が必要なので回路を組む必要があります。LEDドライバーを動かす回路は部品のデータシートに記載されています。それが図6です。
 
2017-02-19.png
図6 CL6807データシートの回路図
 
データシートの回路を元に回路を作成し、実装した写真が図7です。写真に各部品の名称と回路の主要な線を書き込んでいます。
 
Feb19_回路.png
図7 作成したLEDドライバー回路
 
作成した図7の回路はデータシートの回路と全く同じではなく、以下の点を変更しています。
 
表2 回路変更箇所一覧
変更箇所 変更理由
1 電源用パスコンとして0.1μFと10μFを追加 電源ノイズをカットするため
2 LED用パスコンとして0.1μFと4.7μFを追加 LEDスイッチングによるノイズをカットするため
3 電源電圧を15Vに変更 使用するLEDの順電圧に合わせるため(3.3V×3個+α)
4 Rsを0.3Ω程度に変更 順電流を300mA程度にするため(並列接続の組みあわせで微調整する)
5 L1を47μHに変更 安価な部品を使うため
6 Adj端子にオープンコレクタ回路を接続 Wi-Fiモジュールから光量をPWM制御するため
 
回路に関する説明は以上です。
 
 
余談ですが、図7と同じ回路を実験のためブレッドボード上に組んだときは、まともに動きませんでした。順電流が10mAと少ないときは問題ないのですが、100mAも流すと非常に動作が不安定でした。
ブレッドボードですと接触が弱い場合もあるので、それの影響が出たのだと思います。
 

おわりに

今回は作成した照明器具の試作に関して説明しました。次回は試作を動かして、効率や温度の試験をした結果を説明します。
 

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2017年02月22日

ZenFone Maxがオーディオ機器を認識しない場合の対処

はじめに

今回は普段の記事とは少し違い、日常で遭遇した問題を電子工作で解決した話です。タイトルのように、ASUS製スマートフォンZenFone Maxがオーディオ機器に接続しても認識しなかったので、電子工作で対処しました。
 

目次

 

1. 発生した問題

知人が「ZenFone Maxをケーブルでオーディオ機器と繋いでも認識してくれない」と相談してきたので、調べることにしました。
図1と図2がそのときの写真です。本来であればヘッドホン接続のアイコンが表示されるのですが、ケーブルを接続してもアイコンが表示されていません
 
P2290200.jpg
図1 ZenFone Maxとオーディオケーブル接続時
 
P2290200-2.jpg
図2 ZenFone Maxとオーディオケーブル接続時(通知領域拡大)
 
真っ先に疑うのはイヤホンジャックの故障ですが、念のためイヤホンを接続してみました。するとちゃんと認識されました。
 
P2290202.jpg
図3 ZenFone Maxとイヤホン接続時
 
P2290202-2.jpg
図4 ZenFone Maxとイヤホン接続時(通知領域拡大)
 
イヤホンの場合は認識する、ケーブルの場合は認識しない。イヤホンジャックの故障にしてはおかしい現象です。他のイヤホンやケーブルでも試してみましたが同様だったため、イヤホンやケーブルではなくZenFone Max側に何かあると思いました。
 

2. 原因の推測

イヤホンとオーディオ機器で異なるのは入力インピーダンスです。基本的にイヤホンはインピーダンスが数十Ωと低く、オーディオ機器のAUX端子は数十kΩと高いです。
接続時の簡単な回路を示したのが、図5と図6です。スマートフォン側からはイヤホン接続時だと数十Ωの抵抗が接続されているように見え、オーディオ機器接続時だと数十kΩの抵抗が接続されているように見えます。
 
Feb22_低インピーダンスケーブル-1.png
図5 ZenFone Maxとイヤホン接続時の回路概要
 
Feb22_低インピーダンスケーブル-2.png
図6 ZenFone Maxとオーディオ機器接続時の回路概要
 
以上のことから、信号ーGND間を数十Ωの抵抗で繋げばスマートフォンがオーディオ機器をイヤホンとして認識するのでは?と考えました。
 
Feb22_低インピーダンスケーブル-3.png
図7 信号ーGND間に抵抗追加時の回路概要 
 
図7のような低インピーダンスケーブルを作成し、そのケーブルを使えばスマートフォンがオーディオ機器を正しく認識してくれると思います。
 

3. 対処

実際に作成した低インピーダンスケーブルが図8です。作成途中の写真は撮り忘れたので見ることはできませんが、黒い収縮チューブの中に抵抗器が入っています。抵抗器は47Ωを使用し、L/Rそれぞれの信号線とGND間に接続しています。
 
P2290205.jpg
図8 作成した低インピーダンスケーブル
 
このケーブルをスマートフォンと接続したのが図9と図10です。ちゃんとイヤホンとして認識されています。
 
P2290201.jpg
図9 ZenFone Maxと低インピーダンスケーブル接続時
 
P2290201-2.jpg
図10 ZenFone Maxと低インピーダンスケーブル接続時(通知領域拡大)
 
この低インピーダンスケーブルを使ってスマートフォンとオーディオ機器を接続したところ、ちゃんと認識し音が鳴りました。
  

おわりに

以上のように、低インピーダンスケーブルを自作することでZenFone Maxの音をオーディオ機器で再生することができました。
同様の問題で悩んでいる方は参考にされてください。
 
なお、市販されている抵抗入りオーディオケーブルは音声を減衰させるのが目的ですので、抵抗器が信号線と直列に接続されています。ですので、低インピーダンスケーブルの代わりにはなりません。
 

タグ:オーディオ
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2017年01月22日

現在の作成物(Wi-Fiモジュール、パワーLED)

はじめに

遅くなりましたが、2017年初更新です。本年もよろしくお願いいたします。
 
今はWi-FiモジュールパワーLEDの2つを使ってあれこれしています。今回はこの2つについて簡単に説明しようと思います。
 

目次

 

1. Wi-Fiモジュール

Wi-Fiモジュールとは名前の通り、Wi-Fiを使えるようにするためのモジュール(複数の部品を集めてある機能を実現できるようにしたもの)です。無線通信を実現するためのアンテナなどの部品、通信規格への対応などが実装されています。
 
私が使用しているWi-FiモジュールはESP-WROOM-02です。
 
M-09607.jpg
図1 ESP-WROOM-02(秋月電子通商 通販コード:M-09607)
 
下記の特徴があり、個人で扱うにはすごい便利です。
1. 安い(2017年1月19日現在 秋月電子:¥550 スイッチサイエンス:¥864)
2. Arduino IDEで開発できる
3. 技適に対応している
 
価格、開発のしやすさ、技適対応と使いやすい要素が揃っていて、Web上の情報や通販での流通なども豊富にあります。
 
モジュールですので、ESP-WROOOM-02単体では動かせず、外部回路が必要になります。ですが、Web上に情報はいっぱいありますし、スイッチサイエンスで外部回路やUSBシリアル変換と一体化された基板も販売されています。
 
 
私はトランジスタ技術2016年9月号の記事を参考にしました。
ESP-WROOM-02を使って、LEDをスマホのブラウザから操作したのが下記の動画です。
 
 
このようにESP-WROOM-02を使えば、スマホから電子部品を操作することができます。
  

2. パワーLED

パワーLEDの特徴は順電流がたくさん流せてその分明るいというくらいで、順電圧や順電流などの基本的な考え方は普通のLEDと同じです。
ただ順電流がたくさん流せて消費電力が増えるため放熱対策が必要になったり、順電流の制御に抵抗器ではなくLEDドライバーを使うなど普通のLEDと異なる点もあります。
 
I-04036.jpg
図2 1W電球色パワーLED(秋月電子通商 通販コード:I-04036)
 
パワーLEDは明るく点灯できるので、照明を作ることができます。下図はパワーLEDを点灯させたときの写真です。
 
P2290090.jpg
図3 パワーLED点灯時(外装有り)
 
P2290092.jpg
図4 パワーLED点灯時(外装無し)
 
外装は3Dプリンターで作成しました。LEDの後ろにあるのは放熱用のヒートシンクです。
なお、まだパワーLEDの試験を十分に行っていないので、上図では0.03Wの電力で光らせています。
 

まとめ

このような感じで今はWi-FiモジュールとパワーLEDを使い始めました。最終的にはこの2つを組み合わせて、Wi-Fiから操作できる照明を作る予定です。
できればタイマーや目覚ましなどの機能も付けて、販売したいなと思っています。
 
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2016年12月20日

Raspberry Piカメラ用ケースの作成 -第3回:設計と製作

はじめに

今回はカメラケースの3Dモデルを設計し製作した過程を説明します。説明内容は作成するために試行錯誤したことが主ですので、特にこれといったまとめとか結論とかはないです。私が試行錯誤した点などを参考にしていただけたら幸いです。
 

目次

 

1. 概要

図1と図2がカメラケースの3Dモデルです。図2にはそれぞれの箇所に名前を付けています。(各名称は私がそう呼んでいるだけなので、一般的な名称と違うかも知れません)
 
2016-12-20.png
図1 カメラケースの3Dモデルその1
 
dec20_カメラケース.png
図2 カメラケースの3Dモデルその2
 
それぞれの箇所には目的があり、目的と箇所をまとめたのが以下の表です。
 
表1 設計の目的と箇所
目的 箇所 試行錯誤したこと
カメラの固定 レンズ穴、ねじ穴 設計と実物のずれの調整、上下での寸法のずれ
ケースの固定 バンパー 固定方法の検討、上下での寸法のずれ
材料の削減 開口部 開口部の大きさ
反り対策 ブリム ブリムの厚み
 
次からそれぞれの目的について説明します。
 

2. カメラの固定

カメラの固定にはネジとナットを使っています。
P2280859-2.jpg
図3 カメラケース表
 
P2280860-2.jpg
図4 カメラケース裏
 
ケースのねじ穴やレンズ穴の位置がカメラと一致するように設計しないといけません。それぞれの穴の位置はカメラの図面を参考にしました。(Raspberry Pi Camera Module)
ただし、カメラのレンズ部分が傾いているせいか、図面の寸法通りの位置にするとカメラの中央が若干ずれました。そのため、図面の寸法から上図の下方向へ0.5mmほどレンズ穴をずらしています。
 
レンズ穴とねじ穴は2つの図形を組み合わせています。レンズ穴は大小の円、ねじ穴は六角形と円です。
下側の小さい円の穴はケースを貫通(h=3.8mm)させ、上側の大きい円や六角形の穴はレンズフィルタやナットの高さとほぼ同じ(h=2.0mm)にしています。
 
2016-12-20 (2).png
図5 レンズ穴とねじ穴の拡大
 
それぞれの穴を作る上で苦労したのが、実際に造形すると設計と実物で寸法がずれることです。さらに寸法のずれは造形物の上下で異なります
 
下図は3Dプリンターで造形したスペーサーです。設計上はまっすぐな円筒なのですが、下部の方が広がっています。おそらくですが、3Dプリンターは1層1層重ねて造形するため、下部は重みによって潰れて広がるのだと思います。
 
DSC04578.jpg
図6 スペーサー(下部の方が広がっている)
 
そのため、下側の穴は実際の寸法より1mm程度大きくして設計しています。これで実際に造形したらちょうどよい大きさとなりました。
一方上の穴は設計と実物のずれがほぼありませんでした。ですので、実際の寸法通りの値で設計しました。
 

3. ケースの固定

第1回でも説明したとおり、元々はただはめるだけで固定できるようなケースを作るつもりでした。そのための工夫がバンパーです。
理想としてはカメラケース全体の大きさが公式ケースの開口部より若干大きくなる程度に作り、このバンパーに弾力を持たせてカメラケースと公式ケースを押さえつけることで固定するつもりでした。
ですが、先ほど述べたような下の方が潰れて広がるなどカメラケースの寸法がうまく調整できず、さらにバンパーの大きさが小さくあまり弾力もなかったため、この方法は上手くいきませんでした
 
ただ、実際に作って思ったのですが、仮にケースの寸法やバンパーの弾力がちょうど良くなるように作れたとしても、この方法ではしっかりと固定できない気がしています。
カメラみたいにねじやナットを使ってケースと固定するように作れば良かったなと思っています。
 

4. 材料の削減

開口部は体積を減らすために作成しました。またRaspberry Piはそこそこ発熱するので、放熱効果も期待しています。
3Dプリンターは材料を重ねて造形しますので、体積を減らせば必要な材料や造形時間を減らすことが出来ます。材料や時間を減らすことでコストカットにもなりますし、試行錯誤の回数を増やすこともできます。
とはいえ、あまりにも開口部を大きくすると造形物の強度やケースの保護の観点から問題があるので、以下の基準を満たすように作成しました。
  • 造形物の各縁は5mm以上間隔をあける
  • 開口部の幅は10mm以内に抑える
  • 開口部の骨組みは1mm
 
dec20_カメラケースの固定.png
図7 開口部の設計基準
 
スライサーでSTLファイルをGコードへ変換する際に造形に必要な材料や造形時間を見積もることが出来ます。開口部の有無で見積もり結果を比較したのが以下の表です。
 
表2 開口部の有無による材料や時間の比較
  必要材料[g] 造形時間[h:m]
開口部有り 7.52 0:55
開口部無し 8.20 0:58
 
上記のように必要な材料は1割弱減りましたが、造形時間はほぼ変わりません。これの理由はよく分かりませんが、体積を減らすことで短縮できた時間と開口部を作ったことで形状が複雑になって増加した時間が互いに相殺し、それで造形時間があまり変わらなかったのだと思っています。
 
それでも若干ですが造形時間は短くなりますし、材料の削減や放熱効果も期待できますので、開口部は設けることにしました。
 

5. 反り対策

3Dプリンターは材料を熱で溶かして層を重ねることで造形していくのですが、時間が経過している下の方ほど冷えるため、材料の上と下で温度差が発生します。さらに造形材料によっては熱によって伸縮するため、温度差が発生すると造形物が下図のように反ります
 
P2280580.jpg
図8 反りが発生した造形物
 
反りを防止するために、造形物の周辺にブリムを付けます。ブリムを付けることで造形物が3Dプリンターの台座に密着するため、反りを抑えられます。
 
P2280766.jpg
図9 ブリムにより反りを抑えた造形物
 
P2280770.jpg
図10 ブリムの有無による反りの比較
 
何度か試した結果、ブリムは0.4mmがちょうど良かったです。
 
このように反りはブリムによって対策も出来ますが、反り対策を行っている3Dプリンターもあります。反りには造形物の温度差が関係しているので、台座や造形物周辺の空気を暖めることで造形物全体を暖めて温度差をなくし、反りの発生を防ぎます。
 

まとめ

このように設計と造形を繰り返して問題点を探しながら、カメラケースを作成しました。5回目の造形でようやく今のカメラケースを作ることが出来ました。また造形しただけで完成ではなく、ブリムを切り取ったり、広がっている下の方を削ったりと手作業も行っています。
簡単に作れるとまではいかないものの、それでも自分が欲しいものを自作できる3Dプリンターは便利ですので、今後も活用していくつもりです。
 
これでカメラケースの作成は終わりです。また何か出来たら、ブログを更新します。
 

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2016年12月13日

Raspberry Piカメラ用ケースの作成 -第2回:3Dプリントの流れ

はじめに

前回は作成したカメラケースを紹介したので、今回は作成過程を説明します。
作成過程の説明は2回に分け、今回は3Dプリントの流れ、次回はカメラ用ケース作成過程を説明します。
 

目次

 

1. 3Dプリンターの仕組み

3Dプリントでは3Dプリンターが作成物を造形します。造形方法は複数あり、安価な家庭用3Dプリンターだと熱溶解積層法が一般的です。
Youtubeに熱溶解積層法で造形している動画があったので、紹介します
 
 
上の動画のように熱溶解積層法では溶かした材料をノズルから出力していき、その層を積み重ねることで造形します。
作成したい3Dモデルの断面図通りに3Dプリンターのノズルを動かすことで、3Dプリントを行うことが出来ます。
 

2. データ作成の流れ

3Dプリントを行うには3Dプリンターのノズルを断面図通りに動かす必要があるわけですが、そのためにはいくつかのデータを作る必要があります。その流れは以下の通りです。
  1. 3D CADで3Dモデルを作る
  2. 作成した3DモデルをSTLファイル(汎用的な3Dデータ)に変換する
  3. STLファイルをGコード(3Dプリンタを動かすためのデータ)に変換する
  4. Gコードを元に3Dプリンターが造形する
 
最初に必要となるのは造形物の3Dモデルです。これを3D CADで作ります。作り方はまた後ほど説明します。
 
2016-12-13 (7).png
図1 3Dモデル
 
3Dモデルの作成を終えたら、その3DモデルをSTLファイルという形式に変換します。
基本的に作成した3Dモデルは作成に使用した3D CADでしか開けません。そこで他のソフトなどとやり取りが出来るように、STLファイルと呼ばれる汎用的な3Dデータに変換します。こうすることで他のソフトと3Dモデルをやり取りすることが出来ます。
 
2016-12-13 (8).png
図2 STLファイル
 
上図のようにSTLファイルは物体を三角形の集合体として表現しています。この三角形の数が多ければ多いほどデータ容量は大きくなりますが、高精細なモデルとなります。
また、STLファイルの時点でSTLビューワーと呼ばれるソフトを使い、そのモデルが現実的かどうかのチェックをします。例えば、厚みが0となっている箇所はないかとか、2つの物体が重なっていないかなどのチェックです。
 
モデルに問題がないのであれば、STLファイルをGコードに変換します。Gコードは3Dプリンターのノズルの動きを表したデータで、変換ソフトをスライサーといいます。
Gコードは動きを表しているので、この軌跡通りに3Dプリンタのヘッドが動きます。特に図4のように真上から見ると、ノズルの動きが分かりやすいと思います。
 
2016-12-13 (11).png
図3 Gコードの3Dモデル
 
2016-12-13 (9).png
図4 Gコードの3Dモデル(真上)
 
あとはこのGコードを3Dプリンターに読み込まれば、造形することができます。
 
3Dプリントを行うためには3Dモデル・STLファイル・Gコードといった3つのデータを作成する必要がありますが、(精度を求めなければ)STLファイルやGコードは変換することで作成できます。ですので、3Dプリントを行うために作成するメインのデータは3Dモデルです。
 

3. 3Dモデルの作り方

3Dモデルを作成するための3D CADは多数ありますが、私はAUTODESK社の123D Designを使いました。
Autodesk社 123D Design
 
この3D CADは無償で使うことが出来ます。また、私はDMM.makeのサイトに使い方の動画が掲載されています。
この記事でも3Dモデルの作成方法を簡単に説明しますが、詳細な使い方はDMM.makeの方を参考にしてください。
DMM.make 動画でマスターする、3Dデータのつくり方 3D CADコース
 
123D Designでは平面図を書き、その平面図を立体にし、それらの立体を組み合わせる、という行程を繰り返して3Dモデルを作成します。
 
まずスケッチと呼ばれる平面図を書きます。
 
2016-12-13 (16).png
図5 スケッチの作成
 
2016-12-13 (2).png
図6 完成したスケッチ
 
次にそのスケッチに対して押し出しという操作を行って立体にします。
 
2016-12-13 (13).png
図7 押し出しの様子
 
押し出しでは立体を作るだけでなく、削除することも出来ます。
 
2016-12-13 (14).png
図8 押し出しによる削除
 
このように123D Designではスケッチで図形を書き、そのスケッチを押しだしで立体にして3Dモデルを作っていきます。
ここでは説明しませんが、押し出しを高さ方向だけでなく回転方向に押し出したり、立体の角を丸くする面取りしたり、他にも様々な操作があります。
 

まとめ

今回は簡単にですが、3Dプリントを行うために必要なデータについてと、3Dモデルを作成する方法について説明しました。
次回は実際にカメラケースを作成した過程などについて説明します。
 

参考資料

  1. "3Dプリンターの原理(個人向け)". MONOWEB:. http://d-engineer.com/3dprint/3dprintergenri1.html, (参照日:2016-12-13)
  2. "ここから始める、3Dプリンタ&モデリング基礎知識". Impress Watch:. http://akiba-pc.watch.impress.co.jp/docs/column/3dpcontest/620205.html, (参照日:2016-12-13)
  3. "3Dプリンターの基礎". MONOWEB:. http://d-engineer.com/3dprint/3dprintergenri1.html, (参照日:2016-12-13)
 

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